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舛田弘子
〔キーワード〕説明的文章,読解,道徳的スキーマ(MRS),結論,適切性判断
本研究の目的は,短い文章を提示し,それへの結論の選択及び結論の自由記述によってMRS的読解の生起を確認し,加えて適切な結論に対する研究参加者の判断との関連を検討することである。大学生55名を対象に,文章の読解と選択肢による回答,および結論の自由記述を行ってもらった。結果として,以下のことがわかった。即ち,①100字程度の短い文章においても,不適切な道徳的読解(MRS読解)が生じる。②結論を記述する方が選択肢によって選ぶよりもMRSに親和的になりやすい傾向がある。③「自分の意見を,興味深い形で提示する」ということ,加えて「結論には文章から学べることを書くべき」という意識,あるいは「教訓を読み取れること」が,良い結論としての条件であるととらえられている事が推測される。

宮田佳緒里
〔キーワード〕誤認識,説明文と図からの学習,力の分解,大学生
変数間の共変関係を可視化する図の呈示は,関係性の理解を促進することが知られている。特に,教授内容に関する知識の少ない者に対して,図の呈示は効果を持つ。一方,教授内容に関する誤認識を有する者に対しては,図の呈示による教授活動が必ずしも効果を持たないとの知見もある。そこで本稿では,学習者の有する誤認識が説明文と図からの情報の読み取りにどのように影響するかを検討した。大学生134名を対象に,教授内容である力の分解に関する認識調査,及び説明文と図による力の分解の教授活動を行った。その結果,誤認識所有者は,呈示された分力の値を誤りと判断した者の比率が高く,誤認識と一致しない情報を妥当性が低いとの理由で受容しない傾向が示された。このことから,変数間の共変関係に関する学習者の認識は説明文と図から読み取られた情報の妥当性を吟味するために用いられ,認識と一致しない情報の受容に妨害的に作用すると推察された。

 

江川克弘
〔キーワード〕模倣,グループ学習,動機づけ
学習に関する様々な調査から,子どもたちの学習意欲ならびに算数科の学力の低下が報告されている。教育現場では,算数科の苦手な児童に容易に適用でき,学習への動機づけを高め,学力を伸ばすことのできる学習方法が必要とされている。その1つとして,本研究では「グループ学習に模倣を取り入れた学習方法」を取り上げ,その有効性を検討した。学習方法適用群と不適用群を設定し,各群で算数科の苦手な児童を1人対象児として選定した。適用群と不適用群で対象児の事前・後の算数科の授業中の行動とテスト成績について比較を行った。結果は,適用群対象児の方が学習への動機づけを高め,算数科の学力も伸びていた。また,適用群と不適用群で事前・後の算数科のテスト成績の群間比較も行った。結果は,事後テストにおいて適用群の方が有意に高い成績であった。また,適用群の児童に本研究の学習方法の有効性について質問紙調査も行った。結果,児童は概ね有効性を感じていた。以上のことから,本研究で行われた学習方法は,どのような児童にも容易に適用でき,算数科の学習への動機づけも学力も高めることができるものであることが示唆された。