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宇野忍,福山晶子
〔キーワード〕小学生,多動傾向,算数学習,学習環境づくり,応答的環境
本報告は、1997年4月から1998年3月までの1年間にわたる授業記録を基に、多動傾向にある小学2年生児童女児1名に対する援助の取り組みとその結果をまとめたものである。具体的には、対象児童の抱える困難さ(授業中に出歩く、整理整頓ができない、算数の足し算・引き算の学習と10の概念理解が十分でない)の改善を目標とし、学級文庫や工作コーナーの設置、教材・教具の選択など、学習環境の整備が、出歩き行動やかたづけ行動、算数学習の改善に効果をもったことが示され、その児童の得意な面、良い面を認め、それを生かした課題設定を行うなどの学習環境づくりのヒントが得られた。また、学習環境づくりの枠組みとして、O.K.ムーアの応答的環境の持つ5条件が有用であることが指摘された。

工藤与志文,宇野忍,白井秀明,荒井龍弥
小学校理科には、タネの発芽、花、光合成を学習内容とする単元がある。本研究では、単元の相互の関連づけを促進する教授プログラムを開発し、授業を行って、その有効性を検討した。すなわち、小学校6年生女子30名を対象に、光合成の授業後に、テキスト「植物の一生」を用いた授業を行った。このテキストは、植物は生き残るためにどのような戦略をとるかという文脈を利用して、学習者が植物のライフサイクルに各単元の学習内容を関連づけ、植物の形態や生態の持つ機能的意味を見いだせるように構成された。タネの発芽、花概念の内包、外延、光合成に関するテストが事前・事後テスト及び2回の遅延テストとして、計6回実施され、以下のような結果が得られた。1)テキストの有効性は4課題のうち2課題で確認された。2)テキストによる授業は、授業後でも目標を達成できなかった学習者層に特に有効であった。これらの結果から、教授プログラムの有効性が示された。

工藤与志文,宇野忍,白井秀明,荒井龍弥
本研究は、1)小学校理科5,6年の植物単元を対象に、教授者が意図的に関連づけを行わない条件下での単元学習効果の維持・定着の実態を明らかにするとともに、2)自発的関連づけの程度を探るために行われた。小学生33名の同一学習者群を対象に、5年時の植物の発芽および花概念、小学校6年時の光合成概念に関して、授業および同一課題による事前、直後、遅延テストを行い、学習者の理解の変化を縦断的に調査した。その結果、以下の結果が得られた。1)全体的傾向として授業による学習効果は高くなく、高い学習効果を持った学習領域でも、学習効果は時間的経過と共に失われることが多い。2)光合成概念の授業前後の花概念テスト成績の「復帰」を自発的関連づけの兆候と想定すると、a)復帰を示した学習者は極めて少ない。b)復帰を示した学習者は花概念の理解度が高い傾向にあった。c)復帰を示した学習者は光合成概念の理解度が高い傾向にあった。以上から、学習者は各単元の学習内容を自発的に関連づけることができず、関連づけの援助によって彼らの理解を促進できる可能性が示された。