コンテンツへスキップ

岡田いずみ,麻柄啓一
〔キーワード〕公式理解,操作,小中学生
麻柄(2009)は,問題に数値が記されていない場合に公式を用いることができない小学5,6年生が多いことを面積公式に即して明らかにした。これは公式の変数間の関係に着目して答の大小を導くこと(操作)ができない者が多いことを意味する。本研究は,①操作ができない学習者がどの程度いるかを問題の種類と学年を拡張して調査し,②操作ができない学習者に対して,それを可能にするように援助してその効果を検討した。研究では小5(32名)と中1(67名)を対象に,面積公式と代数の式について操作の成否を調査した結果,小中学生ともに正答率は低かった。そこで研究Ⅱでは事例研究として中2(2名)を対象に,任意の数値を代入して求めた答えと操作の結果が同じになることを手がかりとした介入を行ったが,学習者は操作を行えるようにならなかった。原因として学習者の実感や納得が伴わなかった可能性が考えられた。研究Ⅲでは中2(31名)を対象に,操作のプロセスや結果が妥当であることを実体的に確認できるように工夫した介入を行った。その結果,操作が可能となった者が大幅に増加し,この方法が効果的なことが示唆された。

岡田いずみ
〔キーワード〕英文和訳,日本人的な誤り,逐語的置き換え方略,専門学校生
英語における日本人的な誤りについては,和文英訳が多く取り上げられてきたが,本研究では英文和訳を取り上げた。Can you hear me? やListen to him.などの文は,簡単な文であるが,逐語的な訳では不自然な日本語になる。本研究ではこのような文を学習者が正しく訳すことができるかを調べた。参加者は専門学校生であった。実験1(N=17)では,先のような英文に対する和訳を求めたところ,正しく訳せない解答(無記入,過度な省略,文意の取り違え)が多かった。実験2(N=15)ではCan you hear me? を「私の『声』が聞こえますか」のように必要な言葉を加えて訳した文を提示し,正誤判断を求めた。この文は正しい意味を表わしているが,実験参加者にはこのような文を「誤りである」と判断する者が多くいることが示された。また,両実験で教材文を作成して介入を行った。教材文では,池上(1984)を援用し,英語の「人間志向」と日本語の「モノ/コト志向」についての説明を行った。例えば,英語ではWe are closed on Sundays. という表現も,日本語では日曜日は閉店であることを意味するということを説明した。介入の結果,事後には正しい訳ができる(あるいは語を加えた訳であっても正しいと判断できる)者が大幅に増加した。

伊藤桂文,岡田いずみ
〔キーワード〕操作水準,関係操作,数値操作,中学生
学習者が学ぶ知識は,必要な場面で適切に使用されることが重要であるが,そうでない場合も多くあるのが現状であろう。工藤(2003,2005)は,知識を適切に利用できるか否かには「操作水準」の高さが関係することを指摘した。本研究は操作水準を高めるための介入を行い,課題解決を促進しようとするものである。標的問題は「面積を○㎝2の長方形をコピー機でk倍に拡大すると面積は何㎝2になるか」という問題を用いた。この問題については図形をk倍に拡大するとその面積もk倍になると誤ってしまうことが指摘されている。介入は中学生を対象に3群を設定した。①関係操作に加えて作図を行う群,②関係操作を行う群,③数値操作を行う群であった。関係操作とは変数間の関係を考える操作、数値操作とは数値を代入して答えを求める操作である。介入前後の操作水準得点を比較したところ,①群と②群の操作水準が高まっていた。関係操作の練習を行うことが操作水準を高めたと言える。また,標的問題の正答数は,①群で正答者数が有意に増えていた。関係操作の練習に加えて,その内容を学習者が確認できるようにすることで課題解決が促進されることが示唆された。

岡田いずみ
〔キーワード〕割合文章題,分数表示方略,小学生,統合過程
割合の文章題を解くことは小学生にとって難しいことがこれまでの研究で示されてきた。いくつかの研究では,学校で学習した公式を用いずに解く児童が多くいることも示されている。これは,割合文章題の解決を困難にしている原因のひとつに公式の使いにくさがあることを示すものである。本研究では,算数の文章題についての心理学研究の知見に基づいて,割合文章題に関するよりよい教授方法を考案しその効果を検討した。算数の文章題を解決するためには統合過程の成立が重要であるとされる。統合過程を成立させるために,児童にとって既知の内容である分数を用いた方略(分数表示方略)を教授した。小学6年生125人を対象として,事前テスト,介入授業,事後テスト,2週間後の追加調査を実施した。正答率は,事前(64%)から事後(90%)に上昇した。追加調査においても正答率は維持されており,今回の教授方法の効果が確認された。

麻柄啓一,岡田いずみ
中学校の理科では、とつレンズで光を集めるとその光を発した物の像ができることが扱われているが、大学生であってもこのルールを把握している者が少ないことが先行研究からわかっている。教科書を検討すると、光源の位置の変化に伴って像のできる場所や大きさがどのように変化するかが強調されている。このような扱いによって、「像ができる」というルール自体が把握されにくくなっている可能性が考えられる。調査1では大学生を2群に分けて、グループ1に対しては像ができること自体を強調し、グループ2に対しては像のできる位置と大きさを強調した。事後の標的問題での正答率はグループ1の方が高かったが、その値自体は十分高いものではなかった。調査2では、さまざまな光源を用いた場合の光の道筋とスクリーンにできる像を描くことを被験者に求め、さらにルールも強調した。しかし標的問題での正答率は上昇しなかった。調査3では、調査2の被験者に対して、なぜこのルールを標的問題で用いなかったのかを質問した。その結果、彼らの誤解がいくつか明らかになった。これらの結果に対して、授業の改善の観点から考察を加えた。