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佐藤淳
〔キーワード〕授業方略,ルール学習,マトリックス法,「擬似例外」の正事例化
同値のルール(p≡q)の適用を促進する方法のひとつとして,ルールを支持しない命題の妥当性が低いことを,ルール命題と対比的に教示していくマトリックス法が提唱されている。しかし,これまでの研究により,「擬似例外」〈実際にはルールの例外ではないが,学習者が誤って例外と捉えている現象または事例)が具体的に想起された場合は,マトリックス法の効果が減ぜられることも明らかになっている。本研究では,この間題点への対処法の効果が検討された。2つの実験を通して,これまでのマトリックスによるルールの解説に加え,そのマトリックスを利用して「擬似例外」の正事例化(「擬似例外」が,一見例外のように見えても実はルールの正事例となる理由を説明する手続き)を行うことが,ルール命題の適用範囲の拡大をいっそう促進することが示された。そして,この対処法を含むことで,「擬似例外」を正事例と見直す傾向が強まる可能性が示唆され,また「擬似例外」がなお想起されている場合でもマトリックス法の有効性が減じられない可能性もあることが示唆された。

佐藤淳
〔キーワード〕授業方略,ルール学習,マトリックス法,「擬似例外」の想起
提示したルール(p≡q)を課題解決へ促進的に適用させる方略の一つとして,マトリックス法が提唱されている。この方法は,Pと非p×qと非qの4つのセルからなるマトリックスを用いて,ルールの不支持命題(pで非q,非pでq)の妥当性を減じ,事象pとqとの間の緊密な共変関係を認識させることで,ルール命題の信頼感と有用感を高め・課題への適用を促そうとするものである。本研究では,この方法による学習中に,「擬似例外」(ルールの例外ではないが学習者が誤って例外と認識する現象または事例)が想起されていた場合,マトリックス法の効果が維持されるかどうかを検討して,その有効性を左右する条件の一つを明らかにしようとした。実験の結果から,「擬似例外」が想起された場合は,そうでない場合よりもマトリックス法の効果は減少することが示された。しかし一方で,マトリックス法を用いて「擬似例外」を正事例化すれば,「擬似例外」の想起の有無に関わらずその効果が維持される可能性があるとの示唆を得た。