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田中瑛津子
〔キーワード〕授業導入時の工夫,目標の提示,認知と動機づけ,重要な情報への着目,日常場面との関連
本研究では,中学2年生に対する理科の授業場面において,導入時の具体的目標の提示が生徒の認知および動機づけに与える影響について検討した。特に,先行研究で十分扱われてこなかった「理解に焦点化した目標」の効果に焦点を当てた。5日間の講座に参加した99名(分析対象となったのは65名)を,物体の運動に関する実験結果を解説することを授業の目標として提示した実験目標群,実験を日常的な文脈に改変した日常目標群,具体的な目標を提示しない統制群に割り当てた。目標提示後は,授業の中で実験の結果の説明を全ての群に対して同様に行った。その結果,日常的な文脈の有無に関わらず,理解に焦点化した目標の提示により,授業への動機づけおよび重要情報のメモ量が増大することが示された。さらに,動機づけを媒介変数としたパス解析の結果から,重要情報のメモ量に対する目標提示の効果は,動機づけを介するプロセスと,動機づけを介さない直接的なプロセスにより生起することが示唆された。後者のプロセスは,重要な情報に着目しやすくする認知面への影響を反映していると考えられる。本研究により,理解に焦点化した目標提示が動機づけ側面と認知的側面の両方をサポートしうることが示唆された。